大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 昭和34年(ネ)914号 判決 1963年10月30日

控訴人 愛知陸運株式会社

被控訴人 株式会社宅間商店

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張ならびに証拠関係は左に附加するもののほか原判決事実摘示と同一であるから、ここに、これを引用する。

(控訴代理人の主張)

(一)  運送約款の適用について。

(1)  清水宛の運送品の焼失は控訴人の責任ではないから、運送約款第一五条によれば右焼失につき責任はない。また、焼失前に右運送品に汚損を生ぜしめたとしても、汚損により荷物が無価値となるものでなく、その損害賠償の限度は運送約款第一六条によるべきである。

(2)  運送約款第一六条は、運送品にあらかじめその品名、品質、数量および価格の明示を要求しているが、右明示によつて運送賃が増額される反面、運送方法も混載をさけ特別の運送をなすべきことになり、運送委託者においてその価格の損害を請求しうることになるから、右約款は運送機関利用者保護の規定でもある。しかるに、本件運送委託においては被控訴人より価格の明示がなかつたから、控訴人としては普通運送品として最低運賃額で混載の方法により運送をした。

また、控訴会社京都営業所の受付係が、かりに運送品の内容を知りえたとしても、委託者が品名、品質、数量、価格の明示をしないか、または明示をしても、これに応ずる運賃を支払わない以上、右明示がなかつたと同様の結果となる。しかも、控訴会社のごとき大組織を有する運送業者においては、かりに受付係が運送品の内容を知つても、これが運送部門でトラツクに積載されるときは、委託者が右明示の手続をなさない以上、荷送状記載の文言によつてのみ処置するほかはないから、運送品の内容を知るによしなく、かかる場合、委託者が高価品の運送手続をなさず、普通荷物として低額運賃で委託しても、なおかつ控訴人にこれを特別扱として運送すべき義務を負担せしめることは、前記経営組織上は不可能を強いるに等しい。

したがつて、本件については、控訴人は運送約款第一六条の限度において責任を負えば足るものである。

(二)  過失相殺について。

かりに、控訴人の過失によつて本件損害が発生したとしても、右損害発生につき被控訴人にも過失がある。すなわち、被控訴人の委託品が大抵絹製品であることは控訴人において知つていたが、全部が絹製品とは限らず、控訴会社京都営業所主任佐藤重雄は被控訴人に対し、たえず価格の明示をせまり、かつ、絹製品の場合には保険に加入することを申入れたところ、被控訴人はそのいずれの手続もなさず、普通運送品として発送の委託をなしたものであり、この点において被控訴人にも過失があるから、過失相殺を主張する。

(被控訴代理人の主張)

(一)  控訴人の当審における前記主張をすべて争う。

(二)  被控訴人主張の清水宛運送品については、控訴人はその損害額五七一、六五〇円の全額賠償を約し、これに対し金二〇〇、〇〇〇円を支払い、その残額については、爾後被控訴会社が引続き控訴会社に運送を委託することにより支払うべき運賃を順次支払に充てる約定をなしたところ、控訴会社は右約定に基づき昭和二九年四月から昭和三〇年四月までの間に金一六七、六八〇円を決済した結果、未払額は金二〇三、九七〇円である。

(三)  被控訴人主張の磯部宛運送品については、被控訴会社において返品をうけた生地(価格一五三、五四〇円相当)を、当時訴外福田菊治に金五九、〇〇〇円で売却処分したので、その差額九四、五四〇円の損害を蒙つた。

(証拠関係)<省略>

理由

一、控訴人が物品運送業を営む会社であり、被控訴人からその主張の日に荷受人清水勇ならびに磯部延雄宛に運送を委託され、右各運送品(ただし、運送品の内容の点をのぞく)を受取つたところ、右清水宛の運送品が控訴人の保管中に焼失したことは、いずれも当事者間に争がない。

二、まづ、被控訴人は右焼失運送品につき昭和二九年四月一二日控訴人との間に、控訴人は被控訴人に対し損害額の全額五七一、六五〇円を賠償する旨の契約が成立したと主張するので、この点につき判断する。

成立に争のない甲第一号証によると、昭和二九年四月一二日付で控訴会社京都営業所責任者佐藤重雄名義の被控訴会社宛確認書と題し、控訴会社の不注意のため右運送品正絹デシン一二付三〇疋(金額五七一、六五〇円の絞半製品)を積荷輸送中焼却し、前記商品損害を与えたことを確認し、かつ、損害を弁償する旨記載した書面が差入れられていることが認められる。しかしながら、原審ならびに当審証人佐藤重雄、同岸上映也、同福岡兵二(一部)の各証言、被控訴会社代表者本人宅間久雄の供述(一部)を総合すると、被控訴会社は控訴会社に対し右運送品焼失の損害賠償の交渉をなすに際し、右運送を担当した京都営業所をして右事故発生の確認をなさしめるとともに、被控訴会社の税務署に対する申告に使用する趣旨で同営業所責任者佐藤重雄に対し右確認書(同一文言のもの二、三通を被控訴会社において作成)の差入れを要求した結果、佐藤がこれに捺印したもので、その際、同人は右損害賠償額の決定は京都営業所独断では決し難いため本社と連絡し裁決を経たうえ決定する旨申入れたところ、被控訴会社も右申入れを諒としたこと、ならびに、その後、被控訴会社と控訴会社本社間で右賠償額につき交渉が続けられたことが認められ、前掲証人福岡兵二の証言、被控訴会社代表者本人の供述中右認定に反する部分は信用できない。以上認定した甲第一号証(確認書)作成の経緯にてらすと、同号証によつては被控訴人主張のごとき損害賠償契約が成立したものとは認めがたく、他に右主張を肯認するに足る証拠はない。したがつて、右賠償契約を前提とする被控訴人の請求は理由がない。

三、次に、被控訴人の控訴人に対する運送契約上の債務不履行を原因とする賠償請求について判断する。

(一)  前掲甲第一号証に、原審ならびに当審証人福岡兵二の証言、原審における被控訴会社代表者本人宅間久雄の供述を総合すると、前記清水宛の運送品は正絹デシン一二付三〇疋絞半製品で、後記認定のとおり昭和二九年二月末頃右清水方に到達した当時の価格は金五七一、六五〇円であつたことが認められる。

次に、原審証人福岡兵二の証言ならびに同証言により真正に成立したと認められる甲第二号証、成立に争のない甲第五号証、同第六号証の一、二、原審証人磯部延雄の証言ならびに同証言により真正に成立したと認められる甲第三号証、当審証人福岡兵二の証言、原審における被控訴会社代表者本人宅間久雄の供述を総合すると、前記磯部宛の運送品は羽二重三六吋五〇碼二〇疋で、その到達時の価格は金一五三、五四〇円であつたこと、右荷物は控訴人が被控訴人より運送委託を受けた後、磯部に同年八月二三日頃到達したが、その自動車運送に際し混載された油類が浸透して汚損したので、磯部はこれを被控訴人に返品し、被控訴人はそのうち羽二重帯揚生地一疋を事故品の見本として控訴人に渡し、残品は金五九、〇〇〇円で他に売却処分した結果、被控訴人は右汚損によつて金九四、五四〇円の損害を蒙つたことが認められ、右認定に反する当審証人佐藤重雄の証言部分は信用できない。

(二)  控訴人は右運送品の滅失および汚損につき過失がないと主張するので考察するに、

(1)  原審ならびに当審証人岸上映也、同浦上弥一郎、原審証人福岡兵二の各証言によると、清水宛の運送品は昭和二九年二月末頃受取人清水勇方に運送されたが、控訴会社が運送に際し劇薬品(硝酸あるいは硫酸)を混載したため、運送中その一部が腐蝕した結果、荷受人清水からその引取りを拒まれ、控訴会社名古屋倉庫に保管していたところ、右事実を知つた被控訴会社は昭和二九年三月頃控訴会社に対し右損害調査のため速やかに返送するように申入れたが、控訴会社は右品物を前記倉庫に保管したまま返送を遅延しているうち、同年四月六日右倉庫の側を通過する鉄道機関車の煤煙が飛来して同倉庫が発火し、倉庫とともにこれを焼失するにいたつたことが認められる。

およそ、債務者の責に帰すべき事由によつてなんらかの債務不履行が生じた後における履行不能は、たとえ、債務者の責に帰すべからざる事由に基づくものでも、債務者はその責に任ずべきものと解するのが相当である。本件運送品の滅失自体については控訴人の過失によるものとは認めがたいが、前認定によれば控訴人はその責に帰すべき理由によつて右運送品の一部を毀損せしめ、荷受人より引取りを拒絶されたため、これを被控訴人に返送すべく控訴会社に保管中その焼失をみるにいたつたものであるから、控訴人は右滅失につき責に任ずべきものといわねばならない。

(2)  原審証人佐藤重雄、同浦上弥一郎の各証言によると、前記磯部宛の運送品は控訴会社が京都市から名古屋市まで運送し、名古屋市より右磯部方までは訴外知多運輸株式会社に運送を取り扱わしめたものであることが認められ、右荷物の前記汚損が控訴会社の運送中に生じたか、あるいは、右知多運輸株式会社の運送中に生じたかは判然としないけれども、右知多運輸株式会社は結局控訴会社の履行補助者と認むべきであるから、控訴人においてその損害賠償責任を免れるためには、控訴人自身または右知多運輸株式会社のいずれもの過失に基づくものでないことの立証を要するところ、本件においてはこれを認めるに足る証拠はない。したがつて、控訴人の前記主張は採用できない。

四、そこで、控訴人主張の運送約款適用の有無につき判断する。

(一)  成立に争のない乙第一号証に当審証人佐藤重雄、同浦上弥一郎の各証言を総合すると、控訴会社は同社における運送契約の内容につき「貨物自動車運送約款」(乙第一号証)を定め、道路運送法に基づき昭和二八年五月六日運輸大臣の認可を受けたこと、右約款は同法に従い控訴会社の各営業所の店頭に掲示されていたことが認められる。一般に運送業者に運送を委託する者は業者の定めた運送約款によつて取引する意思を有するのが通例であり、かつ、本件においては右約款の法定の公示方法が履践され契約締結にあたり取引の相手方に容易に知りうべき状態におかれていたのであるから、特に当事者が右約款に従わない旨の特約をなさない限り、各当事者は右約款による意思をもつて契約したものと推定するのが相当であり、本件において当事者間に右約款の適用を排除する旨の特約がなされたことを認めるに足る証拠はないから、結局被控訴人は右約款の拘束を受けるものというべきである。

(二)  そこで、右約款中控訴人主張の免責規定の効力についてみるに、前記乙第一号証によると、同約款第一五条には「火災によつて生じた運送品の滅失については、控訴人に悪意または重過失のない限りその責を負わない」旨ならびに同第一六条には「運送品はあらかじめその品名、品質、数量、価格を控訴人に明告しなければその価格は控訴人に悪意または重過失のない限り一個につき金五千円または一トン金二万円の割で算出した価格の中いずれか少ないものを超過することがないものとみなして、その価格を超過する損害については控訴人はその責を負わない」旨の規定がある。

運送人の責任に関する商法の規定は強行法規でないから、運送人が運送約款を設けてその責任の減免をはかることはもとより許されるところであるが、いわゆる普通取引約款は契約定型化による契約の合理化に資する反面、企業者が自己の経済的優位を利用しその企業利益の維持をはかる企図をもつて一方的に制定し、他方企業の利用者は右約款を利用するか否かの自由しかなく、利用者側の契約締結ならびに内容決定の自由は実質上奪われているものであるから、右約款を具体的契約に適用した結果が、企業者の利益に資する反面、その利用者に著しい不利益を課し正義公平に反するがごとき場合には、かかる約款は公序良俗に違反し無効といわねばならない。

いま、前記約款第一五条の免責規定についてみると、運送品焼失の場合運送人の軽度の過失につき賠償義務を免責せしめることは必ずしも不当とはいえないが、本件においては既に認定したように、控訴人の責に帰すべき事由によつて運送品を毀損せしめ、さらに運送委託者より返送の指示があつたのにこれを遷延していた後にいたつてその焼失を見たもので、控訴人側に相当重大な責むべき事情が存するのであるから、かかる場合右焼失につき重大な過失がないことを理由に免責せしめることは、運送人の利益を保護すること厚きに失し、一方、運送委託者に著しい不利益を強いる結果となり、前記説示にてらし右約款は無効といわねばならない。

次に、前記約款第一六条の賠償制限規定についてみるに、たとえ、価格等につき運送委託者からの明告がなかつたとしても、運送人が運送品の内容等を知悉している以上運送に必要な注意を怠つた場合の損害額につき予知していたものというべきであるから、この場合右約款の適用により運送人の責任を軽減せしめることは、前記と同様の理由によつて不当というべきであるところ、原審証人松尾孝次、原審ならびに当審証人福岡兵二の各証言、被控訴会社代表者本人宅間久雄の供述に弁論の全趣旨を総合すると、被控訴会社は昭和二四年一二月以来継続して控訴会社に運送を委託しており、控訴会社においては被控訴会社の委託品が絹製品であつたことは知悉していたことが認められ、右認定に反する当審証人佐藤重雄の証言は信用できず、他に右認定を左右するに足る証拠はない。したがつて控訴会社は被控訴人より運送品の品質、価格等の明告がなかつたことを理由に賠償額の減免を主張することはできない。

控訴人は、右約款に従い価格、品質等の明告がなされた場合には、それに相応して運賃が増額される反面、控訴人において運送方法に特別の考慮を払うことになり、運送委託者は控訴人の義務違反につき価格相当の損害を請求できるから、右約款は運送委託者の保護規定でもあり、したがつて、前記明告なき以上控訴人が賠償額の減免をうけるのは当然である旨主張する。当審証人浦上弥一郎の証言によると、右約款第一六条第二項の高価品(ここにいう高価品とは、その容積または重量の割合に著しく高価な物品を示称し、本件絹製品は右高価品には該当しないというべきである)については、その明告があれば割増運賃が定められていたことを認めうるのみで、右高価品を除くその他の物品には品質、価格等により運賃に差等の設けられていたことを認めるに足る証拠はなく、また、当審証人佐藤重雄の証言によると、控訴会社においては、運送委託者より価格の明告があると定額の価格明示料を徴収するとともに、その品質に応じ安全積載を要するものについては、運送に際し、その旨の、表示をなして事故発生の予防措置を講じていたことを認めうる。しかしながら、運送人において運送品の品名、品質等を知悉している場合、これに相応する保管、運送方法を採るべき義務を負うことは明らかであるから、運送委託者より運送品の品目、品質、価格等につき明告のなされた以上、運送人が右明示に相応する運送措置を採るべきこともまた当然といわねばならないから、前記事情は右約款が運送委託者の保護規定たることの根拠とはなしがたい。

さらに、控訴人は、控訴会社のごとき大企業で運送義務につき各担当部門が分掌する場合においては、運送委託の当初、すなわち受取部門に対し運送品の品質、価格等の明告がない以上、爾余の運送担当部門に対する運送品の内容に相応する注意義務を課するのは酷である旨主張する。しかしながら、運送人の運送義務は運送品の受取りに始まつて、その保管ならびに運送の開始、終了、引渡と一連の行為を包含するものであるから、控訴人主張のごとく企業内において業務分担の行われていること(運送につき履行補助者を利用する場合も同じ)は、なんら運送人の注意義務を軽減すべき理由とはなし難い。したがつて、控訴人主張の前記事情はいずれも本件につき前記約款第一六条の適用を根拠づける理由とはならない。

(三)  次に、控訴人は前記磯部宛の運送品の汚損につき、前記約款第一七条の、「損害賠償の請求は運送品を引渡した後三日以内に文書をもつて控訴人にその留保をしなければ、控訴人は当該損害が控訴人の悪意または重過失に基づかない限り如何なる事由があつてもこれに応じない」旨の規定(同規定の存在は前掲乙第一号証により明らかである)の適用を主張するが、原審証人磯部延雄の証言によれば同人が右運送品の引渡を受け汚損の事実を発見した後、直ちに右運送に当つた控訴人の履行補助者たる前記知多運輸株式会社に対しこれを通告したことが認められ、右認定に反する証拠はない。したがつて、この場合右約款の免責規定の適用ないことは明らかである。しからば、前記運送約款の適用あることを前提とする控訴人の主張はすべて採用できない。

五、よつて、控訴人の過失相殺の主張について判断するに、控訴人は、被控訴人が本件運送委託に際し控訴人の価格明示の申入れならびに損害保険契約締結の勧めに応じなかつた点に被控訴人の過失があると主張するが、運送委託者が保険契約をなすか否かは全く同人の自由に属し、保険契約を締結しないことは、運送人の債務不履行に関してはもちろん、その損害の発生または拡大となんら関係のない事柄であるから、保険契約を締結しない点に被控訴人の過失ありとする控訴人の主張はそれ自体理由がない。また、本件絹製品の運送委託に際し、その価格の明示がなかつたことは当事者間に争がないけれども、これが前記清水宛運送品の焼失についてしんしやくさるべき被控訴人の過失とならないことは、前認定の焼失事情にてらし明らかであり、前記磯部宛運送品の汚損についても、前認定のとおり控訴人は右荷物が絹製品であることを知悉しており、その汚損は運送中の油類との混載に起因するものであるから、被控訴人において価格明示をなさなかつたからといつて右損害発生につき責むべき不注意があつたものということはできない。

よつて、控訴人の過失相殺の主張も採用しがたい。

六、次に、控訴人は前記清水宛運送品の焼失につき被控訴人との間に控訴人はその損害額の半額を賠償する旨の契約が締結されたと主張するが、原審ならびに当審証人岸上映也の証言によれば控訴会社社員岸上映也が被控訴会社の右賠償請求に対し半額賠償申入れをなした事実は認めうるけれども、被控訴会社において右申入れを承諾したことについては本件全立証によるもこれを肯認しがたいから、右主張もまた理由がない。

七、しかして、前記清水宛運送品の焼失による損害については、成立に争のない甲第七号証の一、二、同第八号証の一ないし九、原審ならびに当審証人福岡兵二の証言、被控訴会社代表者本人宅間久雄の供述を総合すると、前記五七一、六五〇円の損害に対し被控訴人主張のごとき決済方法によつて内入弁済がなされた結果、金二〇三、九七〇円が不履行となつていることが認められる。

しからば、控訴人に対し本件各運送契約上の債務不履行による損害賠償として、右清水宛運送品の焼失による損害額二〇三、九七〇円および前記磯部宛運送品の汚損による損害額九四、五四〇円以上合計金二九八、五一〇円の内金二九八、五〇〇円ならびにこれに対する本訴状送達の翌日たること記録上明らかな昭和三〇年九月二一日から右完済にいたるまで法定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める被控訴人の本訴請求は理由があり、これを認容した原判決は正当であるから、本件控訴は理由がない。

よつて、民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 沢栄三 斎藤平伍 中平健吉)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例